イメージ・コンサルタントの荒木裕子です。
オーダーして作られた男性のスーツやジャケットには、
袖に付いているボタンに少々秘密があります。
クラシックスタイルのスーツには
基本的に4つボタンが付いています。
そして袖口から一番奥に付いている第4ボタンの
ボタンホールの穴は塞がれています。
なぜならば、それは子の世代に譲ることを考えてのこと。
あなたの息子さんがあなたより少し腕が長いとしましょう。
彼の腕の長さにジャケットを合わせるには、
袖口を少し出さなければなりません。
そうすると伸ばした長さだけ袖口と第1ボタンの距離が
開いてしまいますよね。
ではどうするのか?
第4ボタンを取って、第1ボタンの下の位置へ移し
それを第1ボタンとします。
第4ボタンのボタンホールの穴は元々塞がっていますから
ボタンホールの糸かがりを取ってしまえば、
そこにボタンがあったという形跡は全く残りません。
後々、袖を長くすることを想定して、
第4ボタンのボタンホールは糸がかりだけで穴はあけていないのでした。
こうして良い物は次の世代に受け継がれていくことを考えると
オーダーで服を作ることの本当の意義がわかりますね。
因みに、私が5歳位の時、父が新しいスーツを作る際に
古いツイードのジャケットだかパンツを潰して
私のコートを作ってもらったことを覚えています。
こう考えると、服は父から息子だけではなく、
父から娘へと受け継がれていくこともありますね。
日本で町の洋服屋さんがまだ活躍していた頃のお話です。