私達は俗にダブルと呼んでいますが、
英語ではDouble Breastedと言います。
日本ではシングルよりもダブルの方が
フォーマルだと言われたりもしますが、
本当にそうなのでしょうか?
銀座で一番古いテーラーのご主人の説明によりますと、
実はダブルの成り立ちを知ると
むしろカジュアルと言っても差支えないということです。
ダブルのジャケットの成り立ちは、
船乗りが甲板に立った時、
左右どちらの方向から風が吹いても、
ボタンの間から風が入ってこないようにという
実に実用的な工夫から生まれたもので、
本来は、右身頃を手前にした前合わせでも
左身頃を手前にしても
着られるように作られています。
では、なぜ日本ではダブルがより格式が高い
と思われているのでしょうか。
前出の銀座のテーラーのご主人によりますと、
「終戦直後に進駐軍のオフィサーのダブルブレステッドの
軍服を見たある既製服メーカーの社長さんが、
『威厳があっていい!』と黒の略礼服に
そのデザインを取り入れることを思いつかれたのが始まり」とのこと。
日本では、ダブルのスーツで結婚式に出席することが多いため
シングルよりもフォーマル度が高いと信じられたのでしょう。
でも本来の成り立ちを知れば、
年齢や体型、そして場所にとらわれることなく、
お召しになれるものであることがわかります。
紺のブレザーできりっと着こなすも良し、
ビジネスでは着られないような明るい色や
チェック柄を楽しむも良し。
恰幅の良い重役風のオジサマでなくては似合わないという
既成概念は捨てた方が良さそうですね。
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